2020.10.03 和邇のコート・ハウス建築記(11) この住まいでは造作家具を多く用いています。 間取りに合わせた形状・サイズの造作家具であれば、空間を無駄なく使うことができます。地震で倒れる心配がないこと、インテリアの統一感が生まれることもメリットです。 書斎コーナーと連続するソファ。最近はソファを置かない住まいも増えているようです。お気に入りのソファを買ったはいいものの、場所はとるしご飯は食べづらいし(低いテーブルとの組み合わせも使いにくい一因です)、気づけば背もたれに成り下がってしまった、なんて経験のある方も多いのでは。もともとソファは客用椅子として輸入され、住まいの「応接間」であるリビングに置かれるようになりました。しかしリビングを応接間として使うスタイルは日本の習慣にどうにも馴染まず、結局「客の来ない部屋の客用椅子」として中途半端な存在になってしまいました。 そんな可哀想なソファですが、現代の住まいにおいては「座る家具」ではなく「寝転がる家具」として考えるほうが良いと思います。ベッドに行くほどではないけど、リビングでゴロンと横になりたい。酔っ払ってでーんとひっくり返りたい。そんな時こそソファの出番です。 できれば大人が2人ぐらい横になれて、枕になる肘かけやクッションがあればなおよし。L字型にすれば足を投げ出したり、向かい合って座ったりもできます。来客用の肩肘はった家具ではなく、家族がのんびりダラダラするための家具。これならソファに勝るものはありません。 寝転がるための家具である以上、寝心地は重要です。今回はクッションの実物サンプルを作って感触を確かめ、やや硬め(2層構成)のものを選びました。好みにもよりますが、デイベッドのように使う場合はやや硬めが使いやすいと思います。 この家では犬も触ることが予想されたので、張地には引っ掻き傷や汚れに強い、特殊な合成皮革を選びました。案の定というべきか、出来上がったソファはすぐさま犬たちに占領されてしまったようです。 テレビ台、レコード棚と一体となったベンチ。テーブルを増やせば大人数での食事にも使えます。ベンチの下は大容量の収納です。ダイニングの窓からは琵琶湖が一望できます。 食器棚は窓枠と一体になっています。食器を集めるのが好きなお施主さんのため、中庭からショーケースのように食器が見えるようにしました。こんなことができるのも造作家具ならではです。 壁の照明器具も製作しています。試作品を作って実験しているところです。 シンプルな筒形のランプですが、こういうものが既製品ではなかなか見つかりません。(海外製ならあるのですが、オリジナルで製作したほうが安いです。)照明に限らず、こうした器具はできるだけ飽きのこないシンプルなものを使うようにしています。家の中の工事は全て完成しました。残すは外構工事です。 PrevPrevious NextNext